村上宗隆は清原和博を越えられるか?~最年少100号本塁打への挑戦~

NPB 村上宗隆 東京ヤクルトスワローズ

※この記事は、2021年3月25日に投稿した記事を一部修正・改編して再投稿しています。

入団4年目にして、チームを越え、球界を代表する選手になった東京ヤクルトスワローズ村上宗隆選手。

2020年は2年目のジンクス(フルシーズン2年目)に陥ることなく、コロナ禍で120試合制ながら、打率.307、28本塁打、86打点と一時は三冠王を狙えるほどの活躍。出塁率/長打率/OPSのスラッシュラインも.427/.585/1.012といずれもリーグトップの成績を残し、3年目にしてリーグを代表する選手に成長した。

そして昨年までの通算本塁打は65本。
シーズン開幕時にはまだ約21歳2か月ということもあり、一つの大きな記録達成に期待がかかる。

それは、史上最年少での100号本塁打だ。

最年少記録保持者は元西武ライオンズなどで活躍した清原和博氏の21歳9か月。今シーズン中に35本塁打を達成すれば記録更新となる。村上は、球界のレジェンドである清原に、どこまで迫れるだろうか。

清原和博

史上最年少で通算100号に到達した清原は、PL学園甲子園のスター選手として、鳴り物入りで西武に入団。高卒1年目ながら驚異の31本塁打を記録し、高卒新人最多記録として、もはやアンタッチャブルな領域に入ってきている。
その後も29→31→35本と毎年順調に記録を伸ばしていき、1996年オフにFAで読売ジャイアンツに移籍。移籍当初は活躍するも、故障にも苦しむシーズンも増え、2005年に戦力外通告。翌年オリックス・バファローズへ移籍するも思うような活躍は出来ず2008年に現役引退。首位打者、本塁打王、打点王などのタイトルには縁がなかったが、最終的には、22年の現役生活で525本塁打(歴代5位)を記録した。
また21年連続2桁本塁打、13年連続20本塁打以上をルーキーからの記録としては共に歴代1位である。


通算本塁打率

1年目には36本塁打を放ち、2年目は120試合制であったが、本塁打率15.14で1年目と同数の打数で換算すると約33本塁打。
清原の3年目までの通算本塁打率は14.27(1299打数91本塁打)。一方の村上は14.57(947打数65本塁打)で、ほぼ同水準になっている。
レギュラーになった2年目からの平均打数は約467.5打数。ここから通算の本塁打率で計算すると、約32本塁打出来る計算となっている。
このことから、30本以上の本塁打数が望めることが分かる。

勝負を避けられた2020年

昨シーズンは全試合4番打者として出場した村上だが、チームとしてはその後を打つ5番打者の起用に頭を悩まされた。実に12人もの選手が起用され、最多は36試合の西浦直亨。それから開幕5番を務めた塩見泰隆が18試合、山崎晃大朗が14試合と続いている。
5番起用最多の西浦は印象的な一打もあり、10本塁打はしているものの、打率/出塁率/長打率/OPSのラインは、.245/.288/.385/.672と5番打者としてはかなり物足りない。四球16に対して三振74で、BB/Kの数値0.22。これはリーグ平均の0.43をはるかに下回る。
山崎は、序盤の好調時に5番として起用されたが、本来は俊足好打タイプで、昨年の長打率.305と、5番が適正ではない。
塩見は開幕スタメン5番を勝ち取とり、.279/.369/.487/.856と抜群の成績を残したが、コンディション不良などで、昇降格を繰り返し、定着には至らなかった。また、昨年のスワローズは1番もなかなか固定できない面もあり、足もあり出塁率の高い塩見は1番の方が適正があるのではと、個人的には考える。
このような状況下で、勝負を避けられる場面も多かったと思う。打率や出塁率が上がったのは、このような側面があったことも、要員の1つに挙げられるのではないか。逆に言えば、もう少し勝負の回数が多ければ、もう少し本塁打数も増えた可能性は大いにある。
5番打者の存在が村上の本塁打数に大きく関わってくるのではないか。

期待できる援護射撃

内川聖一

2021年は、オープン戦から5番打者には主に、福岡ソフトバンクホークスから移籍してきた内川聖一を起用した。長打は本塁打の1本のみだったが、打率.310を残し、高津監督も5番として起用していくことを明言した。
昨年の内川は、層の厚いソフトバンクの中で1軍昇格出来ずにいたが、腐らず2軍で.327の打率を残し、存在感を示した。中でも119打席で三振わずか9.そして四死球は17でBB/Kは1.89と驚異の数値を出している。
昨年からオープン戦の成績を見ても、出場機会に恵まれなかっただけで、衰えはまだ見えない。内川を5番に置くことによって、村上を援護できると共に、上位から下位打線に向けてのチャンスメイクとしての役割も期待出来る。そんな打線になるだろう。

新外国人選手

さらにスワローズは、ホセ・オスナドミンゴ・サンタナという2人の外国人選手を獲得した。
オスナは2019年にMLBで10本塁打36打点を記録。内外野の両コーナーを守れる守備もありMLBでは準レギュラーとしての立場だったが、スワローズでは主にサードとしてフルタイムの出場が見込めるだろう。
サンタナは2017年には30本、2019年にも21本の本塁打を放った長打力が魅力。イチローさんの引退試合となった2019年のシアトル・マリナーズの日本開幕戦でも本塁打を放ち、覚えているファンの方も多いのではないか。昨年は短縮シーズンのMLBにおいて結果が出なかったが、年齢もまだ29歳で、2年前に21本塁打していることから、まだ老け込みには早い。
懸念材料があるとすれば2人の三振の数だろうか。サンタナは活躍した2017、2019年には本塁打を放つ一方178、164三振。長打力があり四球もそこそこ稼げるので、出塁率で三振をそこそこカバー出来るか。
中距離打者としての触れ込みのオスナも、フリースインガータイプで三振が多く四球も少ないので、意外とこちらの方が穴になってしまう可能性もある。
しかしMLBでも長打を発揮した2選手。狭い神宮球場を本拠地とするスワローズでは、2人で5,60本の本塁打も可能だろう。打率には多少目をつぶり、本塁打を量産することが出来れば、村上を援護する打者としてチームに貢献できるのではないか。

影響を与えるオリンピック

これは想像の域でしかないが、東京オリンピック出場による影響も出てくる可能性もあるのではないか。
国を背負って戦うプレッシャーはシーズンの比ではないだろう。特に、初めてトップチームでの国際大会に出場する村上にとっては、初めて感じるプレッシャーなのではないか。
過去には北京のG.G.佐藤氏のように、エラーがキッカケで、シーズンに影響を及ぼすこともある。
オリンピック出場による疲労。さらに、代替試合があるにせよ、シーズン中に休養が与えられるであろう他チームの投手陣との対戦は、オリンピック出場後の村上には、疲労も含め不利になる事も考えられる。
シーズン中の様なペースで本塁打が打てるか、一抹の不安が残る。

今シーズンの村上

シーズン序盤はオープン戦の勢いそのままに好調を維持し、4月の月間打率は.329を記録したが、5月以降は打率が下がり、7月4日時点では.261まで低下している。(東京ヤクルトスワローズ公式サイトより)それでも本塁打のペースは落ちることなく、264打数24本塁打(リーグ1位タイ)。本塁打率に換算すると11.0、11打数に1本塁打のペースで打ち続けている。
ここから今シーズンの本塁打数を予想してみる。
残り試合は67で、現在76試合を消化しているため、1試合平均約3.47打数が計算できる。
そこから計算すると、残り約233打数立てるので約21本の本塁打の上積みが可能という事になる。つまり、シーズン45本ペースで本塁打を放っている。

結論

新人王を獲った2019年から、2020年はさらなる飛躍を遂げ、全試合4番打者として出場し、若くしてチームの主柱となった。そして今季の活躍を見ても文句のつけようがない。
ここまでデータを元にシミュレーションしてきたが、最年少での100号本塁打は十分達成可能な記録だと言える。
今年のスワローズは序盤から好調で、首位争いに食い込めそうな位置にいる。加えて上記のオリンピック出場という立場にもある。
それぞれプレッシャーは当然かかってくるだろうが、この男なら、涼しい表情で達成してしまうような、そんな貫禄さえ漂っている。
今シーズンをどのような成績でフィニッシュするのか。記録達成を心待ちにしながら残りのシーズンも応援していきたいと思う。

データ参考「プロ野球データFreak

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